株式などの配当所得や譲渡所得等について
1 申告不要制度について
株主や出資者が法人から受け取る配当等に係る所得は、配当所得として他の所得(給与所得や不動産所得等)とあわせて総合課税の扱いとして課税されますが、上場株式等(発行株式総数の3%以上保有の大口保有上場株式を除く)に係る配当所得等については、特例として、配当が支払われる際に「道府県民税配当割」の特別徴収により課税関係が終了するため、申告する必要はありません。
また個人が株式等を譲渡した場合の譲渡所得等については、他の所得と分離して課税されますが、源泉徴収を選択した特定口座内の上場株式等に係る譲渡所得等に対しては、「道府県民税株式等譲渡所得割」が課税され、特別徴収により課税関係が終了するため、上場株式等に係る譲渡所得等を申告する必要はありません。
2 確定申告をする場合
上記のとおり、申告不要制度を適用する場合、確定申告をする必要はありませんが、各種所得控除の適用(配当控除、配当割額控除、株式等譲渡所得割額控除)を受けるために総合課税(上場株式等譲渡所得は不可)または申告分離課税を選択して税務署に確定申告をすることもできます。
申告した場合、特別徴収された「道府県民税配当割・道府県民税株式等譲渡所得割」については、市民税・県民税所得割額から税額控除し、控除しきれない額は還付または市民税・県民税均等割額に充当します。申告する際は、特別徴収された「道府県民税配当割・道府県民税株式等譲渡所得割」を所得税確定申告書第二表の「住民税に関する事項」欄の「配当割額控除額」欄または「株式等譲渡所得割額控除額」欄に記載してください。
また所得税においては、非上場株式の少額配当等(1回の支払いが「10万円×配当計算期間月数÷12」の額以下のもの)は申告不要制度を選択することができますが、住民税では課税対象となり申告が必要です。
所得税の確定申告をする人で、少額配当等について申告不要制度を選択する場合、確定申告書第二表「住民税・事業税に関する事項」欄の「非上場株式の少額配当等」欄には、「総合課税として申告する配当所得の金額」と「少額配当等で申告不要とする金額」の合計額を記入してください。(例:総合課税として申告する配当所得が100万円、申告不要とする少額配当等が5万円の場合、確定申告書第一表の配当所得には100万円と記入し、第二表「非上場株式の少額配当等」欄には105万円と記入します。)
※市民税・県民税において申告することを選択した場合、その所得は合計所得金額や総所得金額等に算入されます。これにより、扶養控除の判定、国民健康保険税、介護保険料、後期高齢者医療保険料、医療費の負担割合、各種手当・給付判定等に影響が出る場合があります。
3 「異なる課税方式」の選択の廃止について
平成29年4月1日から所得税と異なる課税方式により市民税・県民税を課税することができることとなっていましたが、令和4年度の税制改正において、令和6年度(令和5年分)より所得税と市民税・県民税の課税方式を一致させることとなり、異なる課税方式を選択することはできなくなります。
上記改正により、令和6年度(令和5年分)以降の確定申告において申告された「特定配当等に係る所得」や「特定株式等譲渡所得」については、市民税・県民税においても「申告する」こととなり、市民税・県民税の「合計所得金額」にも算入される形となります。これにより、扶養控除の判定、国民健康保険税、介護保険料、後期高齢者医療保険料、医療費の負担割合、各種手当・給付判定等に影響が出る場合があります。
上場株式等に係る配当所得等の課税関係
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総合課税で申告した場合 |
申告分離課税で申告した場合 |
申告不要制度を適用した場合 |
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住民税率 |
平成25年1月1日~12月31日 |
市民税6% |
市民税1.8% |
県民税配当割3% |
平成26年1月1日~ |
市民税6% |
市民税3% |
県民税配当割5% |
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配当控除の適用 |
あり |
なし |
なし |
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配当割額控除の適用 |
あり |
あり |
なし |
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上場株式等に係る譲渡損失との損益通算 |
できない |
できる |
できない |
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扶養、非課税等の判定 |
合計所得金額に含む |
合計所得金額に含む |
合計所得金額に含まない |
上場株式等に係る譲渡所得の課税関係
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申告分離課税で申告した場合 |
申告不要制度を適用した場合 |
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住民税率 |
平成25年1月1日~12月31日 |
市民税1.8% |
県民税株式等譲渡所得割3% |
平成26年1月1日~ |
市民税3% |
県民税株式等譲渡所得割5% |
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株式等譲渡所得割額控除の適用 |
あり |
なし |
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申告分離課税を選択した上場株式等に係る配当所得等との損益通算 |
できる |
できない |
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一般株式等に係る譲渡所得との損益通算 |
~平成27年12月31日 |
できる |
できない |
平成28年1月1日~ |
できない |
できない |
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譲渡損失の翌年への繰越し |
できる |
できない |
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扶養、非課税等の判定 |
合計所得金額に含む |
合計所得金額に含まない |
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